お犬様あらわる



「……。」


驚きのあまり硬直してしまった私…。


それを気にも止めず色気むんむんただよわせながら近づいてくる、前と同じ腰にタオル巻いただけの男。


「ペロッっとひと飲みがいい?

それともじっくり骨の髄まで味わわれるのがいい?」


「あっ…!!」


顎を上にあげられて、強制的にあいつの顔をおがむことになる。まさに獣といったような本能に忠実なギラギラとした瞳。


でも………わずかに揺れている。
何か戸惑ってる?


なんでそんな風に見えたのか知りたくて、私は瞳を見つめた。


見いれば見いるほど瞳の奥は深くて、抜け出せない迷路のようにあいつの瞳は私をとらえていった。


















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