お犬様あらわる
「榎藍はあの時の私といっしょに見えたから、榎藍を生きれるようにしたら
私は人間になれると思ったから。」
はっと我に返ったとたん猛烈な恥ずかしさにおそわれた。
何私は一人で語っての!!顔上げれない。あいつの表情なんて呆れてるに決まってるー!!
けど…………
「そうか。」
とても静かな声で
「ありがとうな。菜刄」
とても真面目な顔でそう言われて驚きが隠せなかった。
「なんでそんなこと言うのよ。
榎藍を拾ったのは……。」
本当は同情みたいなものかもしれない。ただの偽善者ぶって悦にひたっている最悪なやつかもしれないのに
「あっ……。」
ギュッ
「どんなことでもいい。菜刄は俺を拾ってくれたから。
俺にはそれだけでいい。」
今までの強引な行動とはうって変わって優しく包み込むように抱き締められる。
今更ながらあいつはほぼ裸で素肌がじかに当たって暖かさがよく伝わった。