異世界
そういえばダンボールの中で夢を見たのも六歳の時だったっけ。

夢の中でのことは何故か未だに詳しく覚えているのに、友達になった男の子の顔が浮かばない。



そういえばあのダンボール、中学生の時の教科書やノートを入れてるんだった。
高校生になったけどなんとなく捨てられないんだよね…





そう考えてるうちに涙は乾いていて、自然に気持ちも落ち着いた。

何処に行こうかな。
いつもなら彼氏の家に行くのに、生憎別れたばっかりなので公園にいく事にした。


公園には小さい子達は誰も居なかったが代わりにホームレスと思われる中年の男性が座っていた。




なんとなく見ていたら目が合った。
「君、家出してきたのかい?」
「…そうですけど」


なんなんだこの人は。いきなり話しかけてくるなんて。


「そうだよな。こっちの世界は楽しくないもんな。」
中年の男性は無精髭をさすりながら呟くような声でいった。

「こっちの世界って…どういう意味ですか。」


すると今度は私の目をじっと見て、こう聞いた。









「君は向こうの世界へ行ったことがあるかい?」
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