異世界
――――――向こうの世界…?




私が戸惑っていると、中年の男性は乾いた笑い声で笑った。


「はははっ。ごめんね、無いならそれでいい。」

"向こうの世界"というのが気になる…。
私が小さい頃に見た夢と関係があるような気がする。



「あの…その"向こうの世界"の話を聞かせてくれませんか?」

中年の男性は少し意外そうな顔をしてから、すぐに笑顔になった。




「向こうの世界はね、とにかくいい人がいっぱい居るんだ。こっちの世界じゃ考えられない程、みんな協力しあって楽しく生活している。そりゃあ一人一人、個性はあるが悪い人なんか居ない。」

「えっと…あなたは向こうの世界へ行ったことがあるんですか?」

私が聞くと、無精髭をさするのをやめて上目遣いでこっちを見た。













「あるよ。長い間、暮らしていたよ。」

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