異世界
「暮らしていたって…」


頭が回らない。
私はからかわれてるのかな?


「あなたは向こうの世界の住人だったってことですか?」
「あ、俺の事は冬架でいいよ。…そうだよ、俺は向こうの世界の住人だったんだ。だが何故か急に戻れなくなってしまった。」

冬架さんは普通の事のように話すけど、微かに寂しそう。






「向こうの世界はな、こっちの世界とよく似ている。だが時間のズレが生じるんだ。向こうの世界に1日居たとしよう。そうなるとこっちの世界は1分経った事になる。」



じゃあ私が小さい頃に見た夢で毎日毎日、男の子と遊んでいたけどあれはこっちの世界ではせいぜい10分位の事だったんだろうか。そもそも向こうの世界が存在するかも不確かな事だけど。



「おっと、暗くなってきたね。そろそろ帰りな」


気付くと辺りは暗やみに包まれていた。


「冬架さん。あの…明日もまた話を聞きに来ても良いですか?」
「勿論だ。」


冬架さんはニカっと笑うと気をつけろよっと言って見送ってくれた。
その笑顔はなんとなく懐かしかった。
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