青空と太陽の下で
ニコリともしないで海ちゃんが言った。

「海ちゃんは幸せじゃないの?」

言ってから焦った。


海ちゃんが急に俯いて黙りこんだからだ。

しばらく沈黙が続いた。

「…私幸せになっちゃいけないから」

海ちゃんが沈黙を破った。

悲しそうな表情の海ちゃん。

会った時からこの子は
寂しそうな顔をしていた。

「…幸せになっちゃいけない人なんているのかな」

私は率直な気持ちを呟くように言った。

「世の中で幸せになれる人なんて限られてるよ」

またもや海ちゃんが冷たく言いはなった。

「でもこれからでも幸せになるチャンスなんていくらでもあるよ。それに幸せは人の数だけあるんだから。未来の可能性まで否定しないで…」

私は必死だった。

私より年下なのに世の中に対してそんな風に思ってほしくない。


< 30 / 45 >

この作品をシェア

pagetop