-短編- 極上の甘さにほろ苦い刺激を
微かな苦み
………―――
家に着いても涙は止まらなかった。
電気を付ける気力も起きず、あたしはずっと泣いていた。
その時、ドアの開く音が。
あたし…鍵閉めてなかったっけ……
誰かが入って来た、とかはもう気にしなかった。
…そのドアを開けた人の声を聞くまでは。
「聖奈…?」
「…『聖奈さん』じゃなかったの?」
「…っ……あれは周りに人がいたから…」
「そ…だよね…二川さんに呼び捨てにしてるの聞かれたら嫌だもんね」
「何でそこで夏実ちゃんが出てくるんだよ!?」