コンパスで作る地球
「みんなが自分の時間をつぶしてまでお前を探してくれたんだぞッ!分かんねぇのか?」
「就也ッ!」
吉野クンが立ち上がった。そして将也クンをグイっと自分に引き寄せた。将也クンの顔つきが強張る。
「……何だよ?」
「ちょっとだけ……隣の部屋で将也と話していいか?」
何も恐れずに至って普通な空気を出す吉野クン。それを見て尾田クンはすんなりと黙って首を縦に振る。
そして二人が隣の部屋に移動すると尾田クンは自分の顔を手で覆う。
「俺……バカかよ。」
さすが吉野クンだと思った。きっと吉野クンは将也クンの怯えた顔も混乱する尾田クンの気持ちも全部理解したんだ。どうしてそんなことができる?
それで一度遠ざけたんだ。
やっぱり……吉野クンは尾田クンの保護者みたい。ロボットみたいに自分の気持ちは大きく持たないけど。その人のことを考えてベストな道を選ばせるんだ。
人を大切にする。
「……尾田クン。将也クン無事でよかったじゃんか。」
「そうだよ……心配したのは分かるけど将也クンだって不安だったよ……」
そんなこと尾田クンでも分かるでしょう?
「真子……」
「何?紗耶香。」
聞いてもいいのかな?でもこれを聞かないと全部が解決したことにはならないと思う。
「将也クン……何で公園に居たのか知ってる?」