コンパスで作る地球
吉野クンから見つかったと電話がきてから私と尾田クンが家に着いたのは30分後。真子たちは私と尾田クンが帰ったとき既に家に居た。
だから私と尾田クンを待っている間にもしかして話ができてたなら……
そんな思いつきだった。分からないけど……真子たちが聞き出せたかどうかなんて分からないけど……
「知ってる……」
複雑な顔で答える真子。
「教えてくれよ!菅野?」
一刻もこのことを理解したい尾田クンは全てを知っている真子に尋ねる。でも真子にとっては難しい。これは自分のことじゃなくて人のこと。
それを許可なく話してしまうのはいいのかな?
「俺……何も出来ない自分が悔しい。さっきだって……三人はあいつのこと想って優しく声掛けれたのに俺は……ただ怒鳴って。そんな奴に話を聞く権利とかないだろうけどさ。」
「…。」
「少しぐらい……落ち着けって感じだよな。がむしゃらな所とかガキだのなんだの。」
尾田クン……無理に笑ったりしないでよ。……バカみたいに格好付けないでよ……
「将也クン……負けたって。」
「……負けた?」
重い口を真子が開いてくれた。
将也クンも尾田クンも負けず嫌いなのは知っている。そして二人はただの負けず嫌いではなくて本当に負けないのが他の人たちとは違って凄い。
そのために何かそれぞれ一つを持っている。
負けることは許されない尾田家。
それなのに将也クンは負けた?