コンパスで作る地球
「……でも!あいつ別に最近怠けてる様子もなかったし。予習も復習も宿題も!頑張ってたのに……」
将也クンが負けることなんて兄である尾田クンにとっても腑に落ちないことであり疑いの目になる。
「それが……その?何か勉強で負けたわけじゃないみたいだけど。」
曖昧な真子の話。
「勉強以外での勝負?」
「うん。」
やっと理解できそうだったのにまたもや謎が増えた。勉強以外での勝負をするだなんて理由も分からない。
将也クンにとっての勝負は勉強だと思っていたけど……
「……何で?何の勝負を?」
「ゴメン。私と吉野クンもここまでしか聞いていないの……」
きっとその時に私と尾田クンが到着したんだろう。
「僕から話すよ……」
自分を責めようとした瞬間隣を見れば吉野クンと将也クンだった。
「もう将也は落ち着いたから。こいつの話聞いてやって。」
そう吉野クンは言うと肌色のソファーにゆっくり座った。そして将也クンは尾田クンの目の前に立って尾田クンを見下ろす。
不安そうな顔をしていて手に力が入ってる。でも目をそらさない所が強い。
「……どんな勝負をしたんだ?」
尾田クンもさっきの態度は反省したみたいで凄く優しく問い掛けた。
そうすると将也クンは安心して震えた声で喋り始めた。