コンパスで作る地球
「マラソン大会……」
マラソン大会?
「冬でもないのにマラソン大会?」
真子の言う通り。今の季節は春と夏の間。マラソン大会なんて季節外れの感じ。
「冬にもあるけどこの季節にもあるんだよここの小学校は。」
尾田クンがため息混じりで解説をしてくれた。尾田クンも同じ小学校に通っていたんだもんね。
地元が近い私は違う小学校で良かったって思う。
「何で……マラソン大会なんかに勝負したんだ?お前は勉強派だろう?それに誰に勝負したんだよ……」
とことん上にいる将也クンが勝負する人。
「兄ちゃんだよ。」
えっ?
「どこの?」
尾田クンはもう一度問い掛ける。
「ここの。就也兄のことッ!」
私も真子も吉野クンも何より尾田クンが一番言葉を失ったと思う。時間は動いてるはずだけど四人とも動こうとはしなかった。と言うか動けなかった。
「……何でこんなに世界は狭いのよ?」
最近はつくづく思った。世界にはいくつもの国があり2000年近くになると人工は63億以上。
そんなにたくさんの人がいるのに普通の生活をするだけではその人工のほんのわずかにしか関わりがないの?
だから憎き学年トップが吉野クンだったりこの問題の中心が尾田クンだったりするわけだ。
そう考えると怖くなる。もしかしてあの子もこの子も何か実は深い関わりがあるのかもって思う。