コンパスで作る地球
「俺は今日マラソン大会なんて出てないぞ。」
そうだよ。だって尾田クンは今朝から私がひったくり?みたいなことをしてある意味走ってたけど。その後も図書館にいたよ。
「僕……最近兄ちゃんのことバカにしてたんだ。」
申し訳なさそうな顔をする将也クン。真子は二人の関係をよく知らないから将也クンの性格に少しずつ気付き驚いている。
「…。」
そして尾田クンは将也クンの話を最後まで聞こうと黙り始めた。
「最近は就也兄テストだから急に勉強を始めたでしょう。」
そう言えば18年間サッカーが一筋なんだよね。死んでもサッカーをするだとか?
「それで僕……急に勉強をしても結果なんて残せるわけないって思ったんだ。今までに勉強をしなかったのが悪いって。」
結果なんて残せるわけない?
「そしたら?」
「父さんに言われた。」
――『それじゃ将也はできるのか?お前は勉強はできても運動はできるのか?出来ないのなら兄さんと同じだろう。』
吉野クンが何故かため息を吐いた。
「さすがあのお父さんだ。全部のことを火を付けさせるように勝負ごとにする。」
じゃあ……将也クンが尾田クンに勝負をしようとしたのはお父さんの言葉がきっかけなの?
「将也の頑固な性格を利用したな。落ち着きもあるけど兄がライバルだとなると引けない勝負だったんだな。」