コンパスで作る地球



この時間はもう電灯だけが灯りをくれた。


「将也のこととか……」


この二人。何年ぶりにこうやって向き合ったのかな?


「……。」


吉野クンは黙って尾田クンだけの声が吉野クンに届く。


「てか……日頃から色々と。」


「……。」


いや……届きますように。


「ありがとうございました!」


両腕をビシッと引き締めて深く頭を下げる尾田クン。勉強が分からなくて吉野クンに短時間で教えてと頼む人。今は大真面目な尾田クン。


「どーいた。しまして。」


幼稚園児みたいに一つずつ学んでいく。忘れかけていたことを思い出す。


何度もこんなふうに繰り返す。


学年トップも大バカでした。


「アハハッ。二人とも緊張しずぎ……幼いなぁ。」


「倉橋ッ!……だから男の友情はな?」


恥ずかしさを怒りに変える尾田クン。またもや出ました男の友情。


「私も分かったよ。男の友情。」


気分が軽くなり歩くスピードも増す。この勢いでテストも乗り越えられたらな。


「男の友情?」


吉野クンは初耳だったりして。


「きっと女の友情と違って言葉なんていらないんだよね。大声で叫ぶこともないしわめくこともなく……」


「……。」



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