コンパスで作る地球
_____黄河文理塾
「えぇーはい。全校生徒の皆さんにはこの夏をしっかりと活用していただきたいと思います。一、二年生は部活動。そして三年生は……」
7月23日。待ちに待った夏休みに入る直前の終業式。
「校長の長すぎるお話なう。」
暑すぎる体育館で学年やクラスごとに列で並んでいると後ろの方からダルそうな声が聞こえた。しかも欠伸つき。
「こるぁぁあ!尾田!ちゃんと聞かんか!お前は受験生だろうがーッ!」
さっきまで穏やか?と言うかゆったりと話していた我が学園の校長が身を乗り出して怒りを表す。その鬼のような顔。教育者としてどうかと思うけど?
マイクを通して響く音は大きすぎて尾田クンの名前は全校生徒に知れ渡る。退屈そうだった生徒みんなは大爆笑。
こんな時でもふざけてしまう受験生。どこを探しても尾田クンぐらいでしょう?
「だってさ。あの静かな空気は耐えきれなかったの!」
終業式も無事ではないがあのまま終わって教室に戻った。そうすると尾田クンはさっきのことを担任に説明する。
「耐えきれなかったのじゃなくて……耐えろ!忍耐力や集中力を付けろ!」
担任の立場的にもこういう生徒が自分のクラスの人間だとなればメンツも丸つぶれかな?
「就也は同じことを五分は続けられないよ、先生。」
吉野クンの言うこと当たってると思う。お世辞抜きで。
「いいか?みんな……受験生だ!今年は受験生の夏休みだぞ。どんな風に過ごすか考えろよ!力付けろよ!」