コンパスで作る地球
______side就也
[ドタドタドタドタッ]
高校最後の夏休みが始まった。
「ちょっと就兄?家の中で騒がないでよ!」
「うるさい。どけッ!」
俺は将也がさえぎる洗面所に行きたくて将也を追い払った。時間がないことぐらいはこの表情を見て読み取ってもらいたい。
「今日はご飯いるの?」
歯を磨いているとお袋がリビングから話し掛けてきた。
「……母さん。だから俺は今から遊びに行くわけじゃないってば!」
こんなふうに話をしている間もお構いなしに時計の針は進んでく。
それを確認すれば顔をふいたタオルを乱暴に将也に投げつけた。
「何するんだよ!洗濯機に入れれば良いだろう!」
将也の言うとおり洗面所の真隣に洗濯機がある。でも蓋も閉まっていたし将也に渡すほうが楽で速い。
俺は生まれてからずっと簡単で楽しくて自由に生きてきたんだ。だからこの日に予定を入れた。この年に。
まぁ担任の言葉が一番俺を動かしたと思うけどね。
「んじゃ。行ってきます。」
青色のワンショルダーを身につけて出発。玄関を開ければさすが夏の太陽。
昼になったらこれ以上の暑さになるのか。コンビニのアイス大丈夫かな?