コンパスで作る地球



「お疲れーッ!」


「飯食いにいかねぇ?」


授業が終わるとすぐに騒がしくなった教室。


誰とも目を合わさずに鞄を肩に掛けて教室から出た。


「あッ!ちょ……倉橋待って!」


私の名前呼ばないでよ……


その声に振り返らずに私は教室を出た。そしてそのまま塾からも出た。


出た瞬間に太陽と目があった。


……眩しい。片手でそれを隠してみても隙間から光がくるし手は熱を感じた。


真昼の夏ってせっかく覚えた授業の内容も忘れそうなくらい暑い。


塾から出た温度差も尋常じゃないし。


「あッ!居た……倉橋。」


私の馬鹿。夏の暑さに圧倒してこんな所で立ち止まってるんじゃなかった。


またその声に振り返らずに歩きだす。


「何で無視して帰るんだよ!」


だけど腕を捕まれたからびっくりしたからつい振り返ってしまった。


「尾田クンにさよならを言わないといけないの?」


「えっ?」


「なんで?帰るときは……尾田クンに一礼してからじゃないと帰っちゃ行けないっていうの?意味分かんない!」



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