コンパスで作る地球
「兄ちゃんッ!」
「あっ……」
将也クンが駆け付けた。
「おぁッ……」
その人物はまさかだった。なんと将也クンの隣に立っているお馴染みの制服を着ている人。
「お……尾田クー―ン?」
さっきまで同じクラスで話していた人。驚きを隠せなくて声が思わず裏返った。
「倉橋…?どういうこと?」
いやいや…こっちの台詞でもあるんですけどね……
横に立っている将也クンは私と尾田クンの顔を交互に見ている。
ゴメン。君の台詞でもあるよね。
「もしかして同級生だったの?確かにお姉さんの通学カバン家で見たことがあるけど。」
記憶が曖昧なのも尾田クンが普段スポーツバックを使っていてそれを見る機会が少ないせいだろう。
「ちょっと…川原で弟クンとお話してて。」
「あぁ……そういうことか。てか倉橋もここの地元だったとは。俺知らなかった…ハハッ。」
同じく私もですけど?
尾田クンが不自然に手を縦に振りながら笑いだす。
オバサン臭い。買い物のバック持ってそう。カゴの奴。しかもネギ買ってそう……
何トンぐらいだろうか。かなりのズッシリとした重たい空気が流れている現場……
「現場って……殺人事件じゃあるまいし…私!」
「えっ?」
「えっ?いや!何もッ?」