コンパスで作る地球
そして何だかその日の夜は中々寝付けなかった。何度も寝返りをして起き上がり台所に行って水を飲む。
そんなことを繰り返すと時計の針は2時を示していて今更寝る気にもなれなかった。
もう完全に目が冷めている。
眠れずに今日の1日を振り替えってみた。今日はかなり忙しかった。いつぶりだろう?川原にも久しぶりに行ったし。昔のことも思い出した。
何よりあのコンパスの話をした。
あのコンパスの話をして笑われなかったのは2回目。
「君も同じ。私に共感してくれたよね。」
携帯を手にとってデーターホルダーを開く。画面に映るのは笑顔いっぱいの君。
場所は病院の中庭。
いつもその笑顔を見ると思う。嘘でしょう?って。何かの間違いだったりしないの?って。本気で考える。
「…。」
目頭がだんだんと熱くなる。これで何度目だろう。
閉じた瞼から無数に零れる雫。頬に流れていくのが分かる。
じんわりと伝わる悲しみ。思うだけで鳥肌が立つ。私の心が叫ぶもう一度会えたらどれだけ幸せだろう。
「どれだけ……」
涙がでるだろう。