コンパスで作る地球
「不器用な奴でしかも頑固だからねあいつは。」
「頑固って……」
「不器用と言えばさ……管野もそうだよな。」
吉野クンにとっては何気なく言った名前だけど私にはとっては重要な話だった。
どうして吉野クンから真子の名前が出るの?
「……真子が?」
「うん。昨日俺が部活から帰宅する時に学校の近くの自販で偶然会ったんだよ。」
「それって……」
――『いや…だから。昨日レポートを遅い時間まで書いてその後に学校の近くの自動販売機でオレンジジュースを買ったのに機械の誤りで何故か缶コーヒーが出てきてムカついたって話をしていたんだけど……』
「それが自販機相手に睨んでたから話聞いてみてね。そしたらコーヒー飲めないからあげるって言われてさ。だからお返しにそこの自販でオレンジジュース買ってあげて少ししゃべってたんだよ。」
私が聞いてあげれなかった今朝の真子の話。まさかここで続きを聞くだなんて。
「そうだったんだ。」
「寂しいみたいだよ。紗耶香チャンが遠く感じて。」
「えっ?寂しい?…私は真子といつも一緒だよ。」
「紗耶香は私に相談とかあんまりしてくれないんだよねって悲しんでたけど。」
「相談しないって言ったの?」