コンパスで作る地球
「紗耶香はね…どうしたの?って言えば別に何でもないよって無理に笑って誤魔化す。その度に私は友達なのに必要じゃないんだって思うって。」
「えっと…それは……」
吉野クンの真剣な表情に何もしていないのに何故か目をそらしてしまった。
「管野も言ってたよ。きっと心配かけたくないとか変な気使ってるんだろうけどって。その紗耶香の気持ちは嬉しいけど。だけど…」
「……だけど?」
初めて聞く真子の本音。
「私は紗耶香と一緒に笑い合うことばかりじゃなくて……怒ったり。苦しんだり…悲しんだりもしたいって。それが本当の深い親友でしょうって。」
「……真…子。」
本当の深い親友。そうだよね……だって本当の親友だったらこんなことですれ違ったりしないよね……ちゃんとお互いに理解して面と向かって素直になれるのに。
それなのにかってに真子はいつも明るいからそんなこと思わないって決め付けてたよ。
一番近くに居る存在だと思ってたのに……一番大切な人なはずなのに。……こんなにも離れちゃったよ。
「ちゃんと…伝えたら?」
「…。」
口に手を押さえた私は何もしゃべれなかった。
「紗耶香チャンの心の中の想いを。今…冷めないうちに。」
吉野クンは知ってたんだ。私が今日どんな想いだったのかを。ひとりぼっちの私を知ってたんだ。