コンパスで作る地球
「吉野クン…本当にありがとう!」
「…。」
「……私ねずっと…今日1日ずっと悩んでて…どうすればいいのか分からなくて。もういろんな事が嫌になって。」
何も考えずに話した内容は自分でもグチャグチャで何を言っているのかも分からなかった。しかも声が小さくて弱くて早口に言ったからよく聞こえていないと思う。
それなのに吉野クンは私とは反対に落ち着いた様子でうなずきながら話を聞いてくれた。
私にすれ違った二人の気持ちを教えてくれてたこと吉野クン。それは本当に感謝しなきゃいけない。その想いが凄く大きかった。
「…ハハハッ。大丈夫。気にしないでいいよ。俺は不器用な二人の想いを代わりに教えただーけ!ただそれだーけ。」
そんな風に少しおどけながら気楽に話してくれる吉野クンはいったいどれだけ優しいんだろうか。
吉野クンは最後に頑張ってねと言ってから教室の前のドアから出ていった。
この時間は本来なら部活に行かなくてはならないのに申し訳なかったな……
今度しっかりお礼しなきゃ。
「…よしッ!」
その後ガッツポーズをして十分気合いを入れた。鞄も持って私も行こうとしたら今度は教室の後のドアに人影が見えた。
「えっ?」
「あ…その…」
どうやらその人物も私に気付いたみたいで気まずそうな顔をしている。だけどそのまま教室の中に入って来た。