コンパスで作る地球
あまりの驚きで私は口をパクパクして声がでなくなった。まさにあたふた状態?
「えっ……そっ…」
「金魚?」
尾田クンいわく私が口をパクパクさせる姿はどうやら餌を欲しがる金魚に見えるらしい。
「だだだだだってさ……お…お…おお……」
やっと出た声はなんとも間抜けな声で恥ずかしかった。
だけど私がこんなにも取り乱してしまっているのは当然のことだと思う。
だって今私の目の前にいるのは絶対にここには居てはいけない絶対に話を聞かれてはいけない尾田クンだから。
「…。」
尾田クンは何もしゃべらないけど少し顔を赤くしてながら自分のロッカーへと向かっていった。
「あの…てっきり部活に行ってたと思って。それで急に来たから驚いただけで…別に?何ていえば良いのか。」
落ち着こうとは思うけれどつい口走ってしまう。
「その……部活に行ってたんだけど。行く途中に忘れ物したの思い出して。」
私に向かって一枚のタオルを見せ付ける尾田クン。
「もしかして…タオルが忘れ物?」
「うん。」
「……そうだったんだ。じゃあ吉野クンと話してたことはー?」
「治斗の言うとおりだよ。」
あぁ。……やっぱり話を聞いてたんだ。
「そっか。」