コンパスで作る地球
最初はただの学校行事にしか見えなかった球技大会。
正直。種目を決めることでさえも面倒に思えて授業もないからサボろうかとも考えた。
それに幼い子じゃあるまいし高校生が団結とか力を合わせるとかそういうの痛いと思ってたし不思議だった。
だけど今ではもう尾田クンの話を聞いたら居ても立ってもいられなくなった。
尾田クンのかってなんかじゃない。巻き込んでなんて言わないで……私も。二度とあんなことは言わないから。
尾田クンの真剣な眼差しは私の心を熱くさせた。
違うんだ。そういう事じゃなかったんだ……ちゃんとそれは意味があることなんだ。
馬鹿な事を言っていた自分自身に言い聞かす。
「実は。ほかのクラスからさ…3組は物静かでノリが悪いって言われてるの聞いたことがあるんだ。でもノリが悪いとか意味分からないし無視してた。だけど私。なんか…だんだん悔しくなってきた!」
「倉橋?」
止めることの出来ない私の口。今想っている全てのことが口から出ていく。悔しさも全てを話す。
「力…私の力は凄く小さいと思う。迷惑かけると思う!……かなり足手まといになるかもしれないけど……だけど!一緒に。みんなの力を合わせたい。」
「……ありがとう。」
その時の尾田クンの笑顔はほんの一瞬だけあの時と同じ慶太の笑顔と重なって私の心は何かに締め付けられた。
「ハハハッ。…よかった。」
微笑む尾田クンに私も満面の笑みをこぼした。