コンパスで作る地球



今日1日の不安が一つ消えて私の体から重たい荷物が下ろせた気がする。


「倉橋って意外と自分の気持ち言えるんだな。見なおした!」


「どういう意味?」


「まぁー。俺に比べれば。全然だけどさ……倉橋だってかなり熱い奴だよ。」


私が熱い?


「……ハハッ。なんかすっごい尾田クン偉そう。上から目線。」


そんな尾田クンの冗談に笑うことが出来た私は少し暖かい気持ちになれた。


「アハハハッ。ごめんごめん。……でもさその熱い想い。あいつにも届けてやれよ。」


尾田クンの言った通り。私はもう一人会わなくてはならない。すぐにでも直接会って伝えたいことがある。この想いはほかの誰でもない真子に伝えなければならない。


「私。会ってくる。」


「倉橋の俺への想いはちゃんと伝わったよ。正直…よかった。こうやって伝え合う機械が得て。」


「私もそう思う。」


「だからあいつにも素直に向かい合えば大丈夫だよ。」


その言葉がどれほど私を勇気づけてたか。どれほど私に追い風をくれたか。


お礼を言ってから私は教室から飛び出た。


廊下を通る人たちを私はどんどん追い抜いた。途中で担任に遭遇して何か尋ねられたけど聞こえなかった。


たぶんその後に無視するなとかなんとか怒鳴ってたけどそれもまた無視した。


今の私には声や音は聞こえなかった。あやふやな気持ちがしっかりとした気持ちになった今。


私にはそれを伝えることしか出来ない。


そして君はそれを受け取ることしか出来ない。


そう。こんなにもシンプルなこと。



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