コンパスで作る地球



「もしもし?真子?」


下駄箱までノンストップで走り続けた。そこで私は携帯を取り出して真子に電話をかけた。


5回目のコールが鳴ろうとしたときやっと真子が出てくれた。


{紗耶香?}


携帯から聞こえる真子の細い声に涙が出そうになった。


「今。今どこにいる?」


{駅前の…ゲームセンター。}



上履きを下駄箱に放り投げローファーに履き変えた。


私の想像どおり。まだ家には帰ってなかった。


やっぱり。家に帰れば親にこんなに早い時間に帰宅して不思議がられるだろうから時間を潰していたんだ。


「私も行くから!絶対に待ってて!お願い!」


{…。}


「真子に…謝りたいこととか…お礼をいいたいこととか…たくさん…沢山あるの!」


さすがに話をしながら全力で走るのは苦しかった。だけど止まらなかった。


{わかった…待ってる。}


真子のその言葉を聞いて私は電話を切った。


校門を出ればどんどん坂を下っていく。自分でも驚くぐらい足が動いた。


私ってこんなんだっけ?


こんなにも風を切って走れるだなんて。



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