コンパスで作る地球



やっぱり男なんてしょうもない。そう言えば日本は昔から旦那より女房の方が強いって言うし。


「アハハッ!キツイなー。少しぐらいおとなしくしろよ。」


そう耳元でささやかれた。


「紗耶香……」


真子が不安そうに私を見てきた。私も真子を見る。


何なの?どいつもこいつも……私だって怖いよ。手足がガクガク震えてるよ。


「ふざけんな!あんたら真子に嫌がらせして……私の友達に何すんのよ!」


「さ!紗耶香……」


「そのピアス!かなり趣味悪いんですけどー!」


お腹の底から大声を出した。


「はぁ?何だこのクソ女?」


そう言うのは茶髪男。


「大体!何で?私らがあんたらみたいなブサイクな男とプリクラとらないといけないのよ!何の義務があんのよ!私たちにだって選択権あるでしょうがー!」


自分でも分かってる。てか自分が一番分かってる。倉橋紗耶香。ただ今完全に壊れました。


自分のコントロール機能がこんなにもろいとは把握してなかった。てか爆発した。それで残念だけど修復不可能だね。


私が叫んだ瞬間に周りの客の話し声が消えて店内にはゲーム機の陽気な音楽のみになった。


そして私たち四人が注目を集めた。でもほとんどが私に対するものだけど。


「紗耶香…ちょっと威嚇するのよくないよ。」


「てか!さっきクソ女って言ったわね!ふざけないでよブ男!ブ男!ブ男!ブ男!」


ブ男の連呼祭り。


「うっせんだよこのブス!」


頭にきた金髪男が私に殴ろうと腕を振り上げた。


それに気付いた真子が私の目の前に来て私をかばおうとした。


動かなきゃって思ったけど全然足が動かない。


だめッ!そんなことしたら。私じゃなくて真子が……


「やめろー―!」


その時後ろから誰かの声がした。



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