ｺﾝﾊﾟｽで作る地球

いきなりﾊﾞﾝﾀﾞﾅ男がﾘｭｯｸｻｯｸを下ろしてﾌｧｽﾅｰをあけて何かを取り出した。


「どうぞ！あっお友達の方も。どうぞ……」


私と真子の両手にﾋﾟﾝｸ色のｽﾄﾗｯﾌﾟやｼｰﾙやﾊﾝｶﾁがのっかった。安っぽいｷｬﾗｸﾀｰの幼女がﾌﾟﾘﾝﾄされている。


「これは何ですか？」


「本日の収穫です。」


「収穫？」


どうやらｹﾞｰﾑの景品らしい。


「今日のお礼です。僕の大好きなものをです！」


自慢気に話すﾊﾞﾝﾀﾞﾅ男。勘違いしてるよ。自分にとってはお礼のつもりだけと相手にとっては迷惑になることもある。


このｵﾀｸ野郎……


絶対に言ってはいけないと即座に思った。だからその言葉は飲み込んだ。


「いや…そんな気持ちだけで。」


ﾆｶﾆｶｯ笑うﾊﾞﾝﾀﾞﾅ男を見ると断るのも可愛そうに思えた。


「「ありがとーございます。」」


渋々だけど真子とお礼を言った。そうすると満足そうにﾊﾞﾝﾀﾞﾅ男は帰っていった。


残されたのは私と真子と両手いっぱいのｵﾀｸｳｹの良いｸﾞｯｽﾞ。


「紗耶香……」


「えっ？」


そんなｸﾞｯｽﾞを一つずつ見ていると真子に呼び掛けられた。


「今日…来てくれてありがと。」


「…。」


「後ごめん。……私が勝手に早退して一人で荒れて…途中でﾁｬﾗ男に絡まれて挙げ句のはて紗耶香にまで危険な目にあわせて……」


「そんなこと思わないでよ！」


だって……


「…。」


「親友じゃんか……」


「紗耶香……」