コンパスで作る地球
「俺。サッカー一筋で勉強……ずっと避けてたんだ。てかさすがに避けすぎた……」
尾田クンが悔しそうに話す。だけど吉野クンはそれに知らんぷりでジュースを飲み干す。
「まぁ……部活引退したからな。さすがに?これからは避けるわけにはいかないよな。今年はもう大学受験あーるーしー。」
大学受験の所をやけに強調して話す吉野クン。尾田クンはさらに苦しそうな顔をする。
昔からの友達だけあって吉野クンは尾田クンのことをよく分かっているらしい。保護者のような存在?
まぁ尾田クンも分かりやすい性格だもんな。
「じゃあさ!紗耶香に勉強を教えてもうおうよ?紗耶香ってね高校入学してからずっーと学年2位だから。」
「えぇー―ッ?」
真子が指を2本立てて笑いながら話す。それに尾田クンがまた椅子を倒して立ち上がる。
こんな古いリアクションをするのも今どき珍しいけど。それも本日2度目ですけど。
「真子……人の順位を軽々と口にして。秘密にしてよ!」
能天気な真子に腹を立てる私。
「だって別に恥ずかしがる順位じゃないでしょ。」
「……私にとっては悔しい順位だもん。」
「悔しい?」
またまた椅子直しながら質問をする尾田クン。