コンパスで作る地球
そうちょうどこの場所。
いつの間にかもう電車を降りて歩いて帰宅中。
その帰り道に通る川原。
顧問の先生は最後の絵は自由に描きなさいと言った。
テーマは自分の好きな場所でいいと。ただし下書きをして絵の具できちんと色をつけること。
後はどれも自由。
――『どうして何度も説明で自由と強調しているのですか?』
素直に私は聞いてみた。
――『作品は人が描きます。なのでどれも違います。あまりルールを作らずに描く事で無限の種類の作品が出来ます。』
ほほ笑みながらそう話す先生を私はじっと見続けた。単なる高校生に本気で答えてくれる大人が珍しかったからでもある。
――『無限の作品ですか?』
――『えぇ。例えば好きな場所と言っても色々あるでしょう。きれいな自然な山とか風景もあれば大切な友達と自分を描いて安心感を表現することもできる。』
人それぞれ。
――『……。』
――『最後の作品です。私はあなた方の個性。それと想いを受けとめます。』