コンパスで作る地球



……何なのよ。私がやる気になった途端二人は忙しくなるし振り向けば居ないって。


あまりの都合の悪さに腹が立ちまくりだった。


「ちくしょー―うッ!」


だからとりあえず掃除中に教室のベランダから叫んでみる。


「ちょっと紗耶香サン?窓拭きしてくれてるんじゃなかった?」


真子がほうきを持って教室から出てきた。


ヤバイ……これじゃシンデレラになる。


真子は最近変な役にハマッている。私の名前にサンを付けることから怪しい。


「ハハ……お姉様。」


「お姉様?」


今の私にはロングドレスに大きなダイヤの指輪をした真子に見える。そのダイヤは一体何カラットですの?


そして私は貧相で可哀想なシンデレラだよね。


「だってさ。窓拭きとかやってる暇ないし……」


朝から二人に頑張っていろんなことを言ってみたけど全部ダメでもう気が付けば掃除の時間だし。


開き直った私は雑巾を畳んだりいじりだす。それを見てお姉様……じゃなくて真子がまたはぁ?と尋ねる。


「……じゃあさ四人で図書館行く?紗耶香は話がしたいんでしょ。だったらテスト勉強会にしてさ。放課後なら用事もないでしょ。」


それだけ言うと真子は教室に戻っていった。


図書館?テスト勉強会?放課後なら用事もないでしょ?


こッこッ……コレだー-ッ!



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