コンパスで作る地球
吉野クンは再び教科書へと目を落とした。
あぁ……こんなの逆効果だ。悪魔でも自然体でやりたいけどこの空気を理解してくれない尾田クンが厄介者。
「倉橋?」
お願いします。少しでいいから理解して……きっと叶わぬ願いだろうけど。
「吉野クンってさ!尾田クンの保護者みたいだよね?日頃お世話掛けてるんじゃないの?」
強制的にじゃない?と強く問い掛けてみる。首を縦に!振りなさいッ!
「保護者?」
まさかだけど保護者と言う言葉は存じてるでしょうね?お世話になってるんだからお礼を今……
[ピロリンッ]
誰かの携帯の着信音が鳴った。
ヌァァァァアァァ!誰?今大事な時なの!何故に今なの?
どうやら鳴った携帯は尾田クンの物らしく悪いと言って携帯を開きだした。
「あぁー―ッ!もうこんな時間じゃん。結構外暗い。」
教科書読んでるんだか寝てるんだか分からなかった真子はどうやら寝ていたらしく今さら目を覚ました。
確かにもう窓から見える景色は暗かった。
そんなことを考えていたら尾田クンが急に立ち上がり荷物を乱暴に鞄にしまった。
「どうした?」
吉野クンが問い掛ける。