コンパスで作る地球
「チクショウ……何処に居んだよ?何やってんだよ!」
頭を抱えた尾田クン。将也クンに何があったのかも分からない。もしものことを考えると焦りが強くなる。それに縁起でもないって分かるけど……
無理……こないだみたいに町にはチャラ男だってたくさんいるし。小学生の子が何を出来るのよ?
早く見つけてあげたい……
お願い。ねぇ……お願い。助けてあげてよ……
「慶太……」
この時は自分でも慶太の名前を口にしていることは気付かなかった。死んだ人に本気でお願いするなんてバカみたい?でも……私はバカだから良いよ。
自分のことからも君からも逃げた私はバカだもん。この手は離さない。そう言われた記憶さえ幻になりそうで怖い。
「……倉橋?」
尾田クンが私の名前を呼んだ瞬間また尾田クンの携帯が鳴った。
周りが静かすぎたせいで着信音で体がびっくりした。
「……もしもし?」
尾田クンが私を見ながら電話に出ると会話をしている。私も気になって尾田クンの表情を見つめた。
「……。」
どうやら相手の方が一方的に話しているようで尾田クンは頷くことしかしなかった。そしてそのまま携帯を閉じた。
「電話は治斗からだった。」
「吉野クンがなんて?」