コンパスで作る地球
「将也クンッ!」
私と尾田クンがリビングのドアを開けて目に飛び込んだのはやっと見つけた将也クンだった。将也クンの左右には真子と吉野クンも座っていた。
「お姉さん……」
お母さんはどうやらまだ家に向っているらしくリビングには姿が見えない。
将也クンの目が潤んでいる。大人みたいな子供。
安心してほしくて私は微笑んだ。
「心配したよー。でも無事でよかったけどね。」
「本当にごめ……」
「何でだ?」
「えっ?」
もちろん今のは尾田クンの声。
「何で小学生がこんな時間に公園に居るんだよッ!」
尾田クンは次に声を荒げた。
床に座り込んでいる将也クンは肩をビクリと上げると石のように重たく動かなかった。
「兄ちゃん……」
「……いいか?母さんから連絡があったんだよ!まだ帰ってこなくて心配だって。そしたらみんなも捜し回ってくれた!」
尾田クンも将也クンの目の前に座り込むと将也クンの肩を掴んだ。そして強い視線を送った。
「…。」
それに将也クンはいつもと違うお兄さんにおびえてる。
何とか空気を変えたいけれど掛ける言葉が見つからない。
今の尾田クンは兄としての強い意志や立場がある。だから下手に私が入り込めない。