H・U・R 519
腹の奥底から、抑えきれない感情の焔が沸上がり、背筋を舐めながら額を包み込んだ。
(ああ、セックスしてえ!)
ググ雄は寺の金庫から2万円くすねると、街へ駆け出して行った。そして彼は、ラブホテル街に行き、物憂げな表情でタバコをくわえて立っている客待ちの女に声をかけた。
「2万円ある。もしよかったら、数珠もつける」
「・・・あんた坊主だね?だったら木魚もあるんじゃない?」
「木魚は無理だ。あれは噛みついたら雷が鳴るまで放さない。数珠、いいぜ!?」
女は「ふー」と煙を吐き出すとタバコをひょいと投げ捨て、
「いいよ。じゃあ行きましょ」
とググ雄の手を引いて近くのラブホテルに入った。



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