泡沫の夢
第一章
鬼と陰陽師
鬼は悪だ。
そう言われ育ってきた。
安倍晴明を従兄弟に持ち。小さい頃から力は強くって。
小さい頃はよくこの力を毛嫌いしたものだ。
でも何時しかそんな想いは消えていった。
両親が殺されたあの日から。
鬼によって喰い殺された両親。見つけた時には血の海だった。
母の屍の隣に立っていた鬼の赤々とした髪の色が今でも思い出される。
憎い。
鬼は悪で、私達陰陽師は光。
悪は滅するのみ。慈悲なんてものはいらない。
そうする事でこの時代の均衡は保たれていた。
数多の犠牲によって――――