泡沫の夢
しまった!式神札を構え、ばっと後ろを振り向く。
すると其処(ソコ)には――…
すらっとした体型。細身なのにしっかりと筋肉がついている。
何よりも一番目につくのが、
燃えるような真っ赤な髪にそれに合わせたような瞳。
私の中の一番忌まわしい記憶の中の男にそっくりだった。
「お前…………」
思わず手が止まる。余りも似すぎている。
「質問をしているのはこっちだぞ?答えたらどうだ。」
明らかに怒気を含んだ声。一瞬ビクッとなるが、怯んでもいられない。
「お前を滅する。」
「やってみろ。」
挑発するような声。早く攻撃したいのに体が式神札を構えたまま、動かない。
「どうした?滅するんじゃなかったのか?」
一歩一歩と鬼が近づいてくる。
このままでは殺される――
どうすれば!!
「お前……まだ弱いな。強い奴と戦わなければ意味がないし、楽しくない。俺と戦いたければ力を着けて出直してこい。」
鬼が言いはなった。
見逃された………?
「お前、名は?」
「…………神楽」
「そうか。俺は鬼灯だ。次に会う時、楽しみにしてるぞ。」
鬼はそう言うと、小さく笑って身を翻した。一瞬にして鬼の体が闇に消えいった。