泡沫の夢
ガヤガヤ。
人々が行き交う京の都。
今日も都は変わらない。
と思ったのだが――……
「なんかなぁ………」
都全体を取り巻く空気が重い。きっと陰陽師にしか分からない、微妙な変化。
「ねぇどう思う?」
「ん?なにがだ?」
私は肩にちょこっと座る子に話かける。
小首を傾げる様が愛らしい。
式神、琥珀。
私に仕える式神の中では一番仲のいい式神。人形をしているが、狐の耳と尻尾がある。髪は名の通り薄い琥珀色。
「なんて言うか………都の空気が重いって言うか…………」
「なんじゃ!者を申す時は、はっきりせい!!
だがまぁ、多少重いかもしれんな。鬼とは少し違うと思うが。」
そう。琥珀が言った通り、鬼とは少し違う。
息が詰まる様な重苦しさ。
「調べてみるか?」
琥珀がにやっと笑った。
折角都に来たのだから買い物でもしたい!!
と言う気にはなれず。
結局、この空気の正体が何なのか知りたいと言う好奇心に負けてしまった。
「よし!じゃあ行ってみようか!」
「おう!今一番変な気が出ているのは彼処じゃ!!」
琥珀は遠くの方にある林指差す。
私はそこを目指して一気に駆け出した。