りんごあめ
「林檎飴を買ってくれたら、友人が向かった道を教えてやってもいいよ。イッヒッヒッヒ」


 林檎飴。赤くて甘くて、丸いその飴。

 特大クレープを食べてお腹がいっぱいなはずなのに、林檎飴の匂いが鼻を掠った瞬間、どうしてだろう?……林檎飴が食べたくなった。


「買います!買いますから!」

「まいどあり。200円だよ」


 財布から200円を取り出し、おばあさんに渡した。そして、林檎飴を受け取る。

 ごくっ。無意識に唾を飲み込んだ。

 そして――私は林檎飴を一口食べて、飲み込んだ。


「甘い……」

「友人の向かった道ではなく、居場所を教えてあげよう。イッヒッヒッヒ」

「あっ、はい!」


 それはなんとも好都合だ。


「イッヒッヒッヒ、お前さんの捜している友人はねぇ――」


 おばあさんは静かに口を歪ませて、口角をあげてニタリと笑った。そして、ニタリと笑ったまま、言ったのだ。
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