りんごあめ

 だれかが騒いでいる声がする。

 だれかが笑っている声がする。

 太鼓の音も聞こえる。

 これは、夏祭り?


 私はゆっくりと目を開けた。


 頭がぼうっとする。

 薄暗い部屋。

 ここはどこ?

 私は……。


 ――はっ!!


 なに……これ。

 私は椅子に座っていて、足と手とお腹らへんをロープで縛られており、椅子に固定されて身動きが出来ない。


「んー!んー!」


 おまけに口も塞がれ、話すことが出来ない。

 夏祭りの最中なんだろうか。

 この薄暗い部屋……部屋?いや、どちらかというと倉庫?

 倉庫の中にいて、外から夏祭りの騒ぎが聞こえるということは……夏祭りの最中に違いない。

 ……っていうか、私はどうしてこんなところにいて、縛られているの?たしか……林檎飴を食べて、そしたらおばあさんが……。


「……ッ!!」


 そうだ。私の食べた林檎飴が、樹里の目玉だって言ってきて……そのまま気を失ったんだ。
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