一度目、キス【短編】
何故か、一週間に一度彼はやってくる。しかも、親がいない金曜日の夜だ。マイ箸を持って夕食をねだる。
『………香奈の料理ってあったかいよな』
いきなり何を言いだすのだろう。月島が食べたのは冷製トマトスパゲッティだ。
『氷入ってんのにあったかいはないよ。』
いつのまにか香奈って呼ばれていた。
呆れて言うと、同じように呆れている顔をされた。
『……やっぱなんでもない。次はクリームシチューがいいなぁ。』