片思いの続きは甘いささやき
④
「・・・どうした?目が覚めたか?」
背中越しに温かさを感じながら、少しずつ覚醒していく意識。
お腹に回された手が優しく雪美の胸元に伸びてくると、確認するようにそのふくらみを包みこむ。
形を知っているくせに、何度も何度も強く揉まれると、目覚めたばかりの意識は甘い吐息となっていく。
「喬・・・?寝てなかった?」
「ん。あんなに乱れた雪美見せられて興奮したまま眠るなんてできるかよ」
「なっ・・・何を言って・・・」
くすくすと笑いながら雪美の首筋に唇を這わせる喬は、更に甘く強い力を込めて雪美を抱き寄せた。
ベッドの中で体をからませてお互いの体温を分け合うのは初めてではないけれど、喬にとっても雪美にとっても初めて受け入れるお互いの素の愛情。
止まることのない喬の愛撫に、雪美は逃げるように体をずらすけれど、それを抑えるように抱え込む喬は、心の底からの嬉しさを隠す事なく言葉を紡ぐ。
「ようやく、ちゃんと俺のものになったな。体しか俺には許さなかったしな・・・俺がどれだけ抱いても声は我慢するしイク時もすべてを俺には預けなかったしな」
「え・・・?喬・・・?」
どこかさみしげな喬の声音にはっとして顔をあげた雪美がとらえたのは、初めて見せる余裕のない顔。
じっと雪美をみつめながら何かを秘めている瞳は、なんだか切なくて、雪美を驚かせるには十分だった。
「真田さんの事を想いながら・・・でも諦めようとしながら俺に抱かれてたのも。
それでも少しずつ俺に気持ちが傾いてくのも気づいてた。抱くたびに喘ぐ声も大きくなってたし雪から肌を合わせてくる事も増えてたし」
少しいたずらっこのようなにやりとした顔を雪美に向けながら、喬は囁く。
「それでも、やっぱり俺だけが雪の心を占めてるわけじゃなかったから、長期戦覚悟で抱いてた。完璧に雪の気持ちをつかむまでとにかく抱いて抱いて抱くって決めてた」
「抱いて抱いてって・・・」
「ん?嫌じゃなかっただろ?」
まるで、否定できるならしてみろとでもいうような声に、雪美は何も言えなくなる。
それでも、言葉の内容には照れてしまって、体中が熱くなる。
「そ・・・それはそうだけど」