片思いの続きは甘いささやき
「・・・ひいた?ひいたよな。俺のこんな泥くさい感情見せられて、いい気分じゃないよな」
自嘲気味な喬の吐息。その手は雪美の頬を優しく優しく撫でている。
「でも、もう雪が俺以外の男に気持ちを揺らすのは見たくないし、そんな事させないくらいに俺が俺の中に閉じ込めてやる」
「・・・ん。・・・いいよ。閉じ込めてよ。喬の中で喬だけを愛するように愛してよ」
雪美の頬にある喬の手を、ぐっと掴むと、雪美は手のひらに唇を寄せた。
お互いに視線はからませたままに、どこか震える空気をまといながら。
「・・・喬だって、私のためだけに生きてよ。他の女の子に気持ち揺らさないで」
流れる涙を隠すことなく、雪美は喬の体にしがみついた。力いっぱい背中に回した手は、何度も触れた事のある喬の背中。
そして、その力に負けることのない切羽詰まった勢いのまま、喬も雪美を抱きしめた。
「雪に会ってから、誰にも気持ちは揺れたことない・・・」
首筋に吐かれる甘い言葉は、魔法のように雪美の涙をさらに煽る・・・。
「嘘だ・・・」
ぐすんぐすんと、泣きながら訴える雪美に、一瞬苦笑しながらも、喬は何度も何度も
「雪だけだ。雪だけ」
呪文のように繰り返した。