不器用な愛
にしても、時久のスーツ姿久しぶりに見た。
この前会った時は私服だったし。
「で、何の用だ」
一息ついて時久から出てきた言葉。
まるであたしがいてほしくないように聞こえてしまう。
実際そうかも知れないけどコイツは絶対そんな事は言わない。
氷のように冷たくて日だまりのように暖かい。
「潤いを求めて」
「何だそれ」
分かってるくせに、それを絶対に言わない。
「今日彼氏と別れたから」
「ふ〜ん」