不器用な愛







「さよなら」






そう言い残して席を立った。
さっきまで夢中で喋っていた男は何が起きたのかさっぱり分からないという顔をしているに違いない。
そしてあたしの立ち去る後ろ姿を理解出来ないというように見ているだろう。
全て推測だけどあたしには分かる。


だって背中に痛いくらいの一つの視線を感じているから。


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