100回ありがとう


「寝てもいいから」



先生はわたしを気遣って
そう言ってくれたけど
わたしは寝る気なんか
さらさら無かった。



先生とのこの空間、
本当に幸せ。



そんなことを思いながら
どうでもいい会話で
先生と笑ったりした。



「到着~」



とうとう家についてしまった。

まあ案内したの、
わたしだけどさ…。


もっと遠回りの道、
教えればよかった、なんて
後悔の念を心に馳せながら
リュックを持ち上げた。



「今日は遅くなって悪かったな。
今度からは早く切り上げような。」


わたしが車のドアを開くと、
先生がそう言った。



…早く切り上げるなんて
必要ない。
もっと遅くなったっていいのに。


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