岩内さん、フォーカス!
顔を反らす。



さらりと言ったな。

きっと今、私の顔は赤い。



「萌さん。どうしたの?」

「…どうもしてない」



歩調を速める。



「ちょっと、萌さん?」



望は小走りに追いかけて来た。



「望くん。敬語もやめたし、名前で呼んでるのに、呼び捨てにはしてくれないんだ」

「いきなりだね、萌って呼んでほしいの?」



そうだ。

そうなっちゃうな。

照れ隠しだったのに、もっと恥ずかしい展開になっちゃった。



「萌。どうしたの。今日、変じゃない?」

「変じゃない!」



ああ。もう。

早く、学校に着かないかな。


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