岩内さん、フォーカス!
「ところで、二人は、何の話をしてたのかな?」

「外村先輩には関係有りません」



こどもだなぁ、望。



「今度、何処かに遊びに行こう。みたいな話」



望は少し、頬を膨らませた。



「おお。デートかい?」

「そう」

「行くところは決まっているのかな?」

「いや、まだ」



英雄はポケットから、二枚の紙を取り出した。



「では、水族館など、いかがかな?」

「いかが、とは、どういう意味ですか?」



英雄は望にウィンクした。



「知り合いにチケットをもらってね。恋ヶ窪か誰かと行こうと思っていたのだが、君達にあげよう」



望は怪訝そうに眉を寄せた。



「何故、僕達に?」



英雄は肩をすくめた。



「ただ使われるより、デートに使われる方が、そのチケットも喜ぶかと思ってね」



望は口をつぐんだ。



「ありがたく、もらうよ。外村くん」

「ああ。そうしてくれ。次の連休までのチケットだから、早めに使ってくれ」



< 146 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop