岩内さん、フォーカス!
放課後。



総合体育館の剣道場。



素振りを終え、竹刀を下ろす。



「岩内。何か、嬉しいことでも有ったの?」

「まあね」

「小日向くん関係?」

「…何で解った?」



彩香は口笛を吹いた。



「何、お泊まりとか?」

「違う」

「デート?」

「まあ、そんなんかな」



彩香はかかかと笑った。



「この前まで学園の王子様で、女子のファンクラブまで有った岩内が、か」

「おまけに、今度の文化祭ではジュリエットだし」

「いいじゃん。今の岩内には、お似合いだよ」



彩香を小突く。



「どういう意味?」

「オンナノコになってんじゃない?」



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