岩内さん、フォーカス!
「受け止める覚悟は、貴方には無かったのね」



美音は溜め息をついた。



「まあ、所詮、その程度よね。取材の為に近づいて、保身の為に付き合い始めて」



唇を噛む。



「貴方には、なにも無かったのよね。さっき言った覚悟も、恋愛感情さえも」





「そんなことありません!」





知らず、叫んでいた。





「そりゃ、最初は、見た目でしたよ」





身体が熱い。





「でも、萌のことを知ってゆくうちに、それだけじゃなくなっていった」





拳を握る。





「萌の仕種や、言葉の一つ一つが、堪らなく愛しくなっていった」





美音を見据える。





「僕は、萌の、虜です」




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