岩内さん、フォーカス!
「迎えに行くと言うのはいいが、どこに行くつもりだい?」



体育館の入口に、英雄が腕を組んでもたれかかっていた。



「…これから探します」

「アテも無く、かい?」



言葉に詰まる。

英雄は無線機を取り出した。



「外村先輩。それは?」

「なに、放送部の備品さ」

「それで、なにを…」

『好男だ。兄貴、応答してくれ』



英雄は無線機を耳に当てた。



「英雄だ。状況は?」

『ライオン野郎は、岩内先輩を抱えて、隣の市の外れの廃ビルに入った』

「ビルの内部と、周辺の状況は?」

『内部には、人影は無い。でも、周りに何十人も、ガラの悪いのがいる』



萌…!



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